ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来

慌てた声でそう叫んだ伊藤先生。

自分が知っている彼女とは全く異なる変貌ぶりに驚いた私は思わず頭を上げてしまった。


「そうじゃないんです!小児科での祐希クンのお預かりを延長するよう配慮したのも、ベビーベッドや食事の手配をしたのも私じゃなくて・・・・森村先生なんです!」

『森村・・・先生・・・?』



意外な人物の名前を耳にして驚いてしまった私はオウム返しのようにその人物名を呟き、右手で自分の口を塞いだ。



「・・・・そう。食事に至っては“俺の食事の準備はいらないから幼児食を作ってくれっ”って何度も給食課に頼み込んでいて・・・しかも、祐希クン、心臓のお薬を飲んでいるから納豆は献立に入れるなってそんな指示までしていて・・・・・」


『・・・・・・・・』



昨日初めてお会いした時にはあんなにもほんわか口調だったのに、そんな姿を微塵も感じさせないような早口でそう説明をしてくれた彼女。

私は口を右手で塞いだままそんな彼女を見つめるしかなかった。



「リハビリをしながら母親業をこなすのは大変だろうからって、少しでも助けてやりたいからって・・・森村先生、そうおっしゃってました。でも森村先生は高梨さんにはこのコトは言うなって・・・」


『・・・えっ?』



そんな意外な事実を知らされて
私は彼女にどう答えたらいいのかわからなかった。


でもそんな私に対してお構いナシに口を開く彼女。



「でも私、黙っていられませんでした。高梨さんは森村先生が行った配慮を私が行ったと思っていらっしゃるみたいなので・・・・」


『・・・はあ、まあ、そうですけど・・・』




そりゃ、森村医師がそんなコトしてくれてたなんて私
知らない・・・・

彼が祐希を伊藤先生に預かるように指示してくれたのは知ってるけど

ベビーベッドのコトとか食事のコトとか
そんな細かい配慮まで彼がしていたなんて

そんなコト、彼はなんにも口にしていなかったのに・・・・


そこまでしてくれるのは、、私の主治医だから?


私に、リハビリに集中させるためにそこまでやってくれてるの?



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