ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来




「・・・そんなコト知ってどうするんだ?」


冷ややかな口調で美咲さんに問い返したナオフミさん。


「・・いえ、私はその・・あの・・」


入江さんから聞いていた彼女のイメージからは想像もつかないようなおどおどとした態度の美咲さん。

どうやら彼女はナオフミさんの冷ややかな応対によって精神的に追い込まれたようだった。



「美咲はさ、そんなコトに気を向けてる暇があったら、体を休めることも考えろ。俺らみたいなある意味体力勝負な部署ではそれも大事な仕事だからな。」


「・・・・・・・・ハイ。」



毅然とした態度で彼女を諭したナオフミさんに
彼女は素直に返事をした。

先生に叱られた生徒みたいに・・・・・。



「あんまりシュンとするなよ・・・」

「・・・スミマセン、私、もしかしたら失礼なコトを聴いてしまったのかなって。」



彼女におどおどとした態度を取らせてしまったことを申し訳なく思ったのか
ナオフミさんの口調は彼らしい穏やかな声に戻っていた。

それでもなお、態度が変わらない彼女。




クスッ!





「別に俺、怒ってないから。」

「・・・スミマセン・・・」



笑いながら怒っていないことを伝えたナオフミさん。
そんな彼の真ん前で顔を真っ赤にしながらまたまた謝罪の言葉を口にした美咲さん。


フッ!


「もう謝るなって。ほらっ、早く昼飯食わないと、午後のオペに遅刻するから、飯、食って来いな。」


「・・・ハイ、お昼ご飯、行ってきます!それじゃ・・・」



更に笑い声を上げたナオフミさんに
彼女はというと真っ赤になった顔を上げないまま深くお辞儀をして突然走り始めた。




ハアーッ・・・



その場に一人、取り残されたナオフミさんはというと
大きな溜息をひとつついた後、首を大きく回しながら医局の中へ入って行こうとしていた。





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