ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



また別の案件があるのか?
ま、腹の中に隠されているよりかは
ちゃんと伝えてくれるほうがよっぽどいいけれど・・・


「あの、日詠先生は、こ、恋人とか・・・いるんですか?」



確かに別の案件

でも、産科後輩医師から聴かれる質問としては
重要案件ではないと断言できるその質問



『・・・・何、いきなり。』

「あっ、別に、その、あの・・・か、看護師さんに聴いてきてって頼まれたんです・・・・でも、無理に教えて頂かなくても・・・」




看護師さん・・か
今日はそんな話ばかりだな

看護師には普段、患者のケアや診療介助などでお世話になっていて、ありがたい存在であることは間違いない

でも、恋人はいます・・・どころか
俺には伶菜という婚約者がいる



生き別れてからずっと捜し続けてきて
偶然再会した時は、伶菜は心身ともにボロボロだった
その後も、数多くの壁を乗り越えて
ようやく掴みかけている彼女との幸せな未来


そんな俺なのに
多忙とか、彼女に好意を寄せている男の存在によって
いい加減、伶菜不足状態から抜け切れていない


浜松で伶菜と初めて甘い時間を過ごしている最中に緊急で呼び出されてから
それ以来、彼女とそういう時間を過ごしていない


伶菜不足状態から抜け切れていないどころか
伶菜が欲しくて欲しくてたまらない


そんな俺が
なんで恋人いますかなんて聴かれたり
アドレスが書き込まれた名刺を置き逃げされたりしなきゃいけないんだ?


『・・・そんなコト知ってどうするんだ?』



看護師から頼まれたらしい美咲にそう問い詰めても仕方がないことぐらいわかっていたけれど、自分が止められない


「・・いえ、私はその・・あの・・」







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