ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina's eye ケース16:知ってしまった事実と知りたくなかった現実


【Reina's eye ケース16:知ってしまった事実と知りたくなかった現実】




祐希が相変わらずグッスリと眠っている午後のひととき。

春はもうすぐそこまでやってきていることもあってか病室に差し込む日の光は柔らかくて。





集中力を要するリハビリで神経を擦り減らしていた私は本当なら、その心地よい空気にゆっくりと癒されるはずだった。


でも、


“あの、日詠先生は、こ、恋人とかいるんですか?”


ナオフミさんに対する後輩医師の美咲さんのイキナリの一言。




そして


“・・・日詠さんはやめておけ・・・彼のコトを想うのはもう・・・やめておけ。”


いつになく真剣な態度の森村医師の一言。




それらによって、私のささやかな癒しの時間は、いとも簡単に消え去った。





どうして、そんなコト言うの?

なんで、どうして?

私は今、シアワセだよ・・・



なのに、どうして?

そんなコト言ってくるの?





『・・・・・・・・・・』




いつもの私なら
森村という人には
自分の胸の中で想い浮かんだことを遠慮なくぶつけていたのに

その時の私はそのような言葉も発することができなかった。



本当なら

”ナオフミさんを想い続けるのをなぜやめたほうがいいのか”

その理由を疑問に思い、森村医師にちゃんとそれを問い質すべきだと思う


そう・・・

森村医師は

私がナオフミさんをいくら想い続けても
叶わない恋だということを言い聞かせたかったのか?

それとも

ナオフミさんには実は私の知らない落ち度があることを私に教えたかったのか?

そういう疑問を抱き、彼にちゃんと訊ねてみるべきだと思う



でも、今の私は





オレ様なイヤな人と思っていた彼の意外な一面


言葉遣いとか態度は相変わらずいいとはいえないけれど

・・・・人に頑張れる力を授けてくれるコト
・・・・人に細やかな気遣いができるコト


そして


・・・・その場にいる人を元気にする空気を作り出すことができるコト


そんな一面をも兼ね備えているように思えるこの人は

実は“いいひと”なのかも・・・と彼のコトを見直し始めたばかりで・・・・



だからあんなにも真剣な顔して忠告の言葉を口にした彼に対してドキッとせずにはいられない・・・


だから私はいまだに何も言葉が出てこないんだ









「あれ?なんからしくないじゃん!“余計なお世話よ!”とか言っちゃってくれるかと思ってたのになぁ。つまんねー。迫力のないレイナって。」






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