ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina's eye ケース17:絡み合う想い


【Reina's eye ケース17:絡み合う想い】






私はいつからこんなにも
ナオフミさんのコトを
独り占めしたいなんて思うようになったんだろう?


ナオフミさんに間一髪、駅のホームで救い出された時、
自ら命を絶とうとしていた私は
なんで私を助けたのかって心の中で反発してた


ナオフミさんが主治医で私が担当妊婦だった頃、
彼の医師としての真摯な態度を目のあたりにした私は
彼のコト、スキかもと思いながらも
主治医をスキになるなんてあり得ないって自分に言い聞かせてた


ナオフミさんに“自分はキミの兄だから”って告白された時、
同時にお腹の中の胎児の心臓に異常があるから東京の病院への転院も勧められた私は
彼に見捨てられたと感じてしまった


ナオフミさんが
私の出産翌日に電話をかけてきてくれた時、
生まれて間もない祐希にどう関わればいいのか戸惑っていた私は
多忙な彼も頑張っているから自分も頑張ろうと心の中でそう誓った



ナオフミさんが祐希の心臓手術中に東京まで駆けつけてくれた時、
祐希が無事自分のところへ還ってこれるか不安で仕方なかった私は
彼がその場に居てくれてよかったと心から思った



ナオフミさんが“一緒に暮らさないか?”と言ってくれた時、
祐希とふたりきりでの新しい生活に不安を覚えていながらも私が
多忙な彼に迷惑をかけてしまわないかという心配をも抱きながら
それでも、一緒に居たいと思った


一体いつからだろう?


いつから彼を独り占めしたいというそんなひとりよがりな想いを抱いたのか
まだ想い出せない




美咲さんとの会話を終えた私はそんなコトを思いながら祐希の手を引いて売店から病室に戻った。
照頭台には朝食が置かれていて、それを見つけた祐希は早速、そこに駆け寄っていちごに手を伸ばし頬張っていた。



『あっ、いちご?もう食べちゃったの?』



居場所は異なるけれど、いつもの朝食時の光景。
何度も言うが、母親業は待ったなしの多忙な業種。



『祐希、こらー!!!! 手、拭いてからにして!!!!!』



自分がいつからナオフミさんのことを独り占めにしたくなったのかと頭を傾げてる暇はない。
今、この瞬間は。


そして怪我をしていない右手だけで
祐希にご飯を食べさせながら、自分も食べるという慌しい朝食を追え、祐希を小児科病棟のプレイルームに送り届けてからリハビリルームに向かった。




< 231 / 542 >

この作品をシェア

pagetop