ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


縫った腱を切らないように注意しながらも指を動かすかなりの集中力を要するリハビリ。
その方法を習得したものの、相変わらず慎重にそれを行っていた私はその時間内だけはナオフミさんのコト、森村医師のコト、そして美咲さんのコトで頭を悩ます状況から解放されていた。



でも、そんな時間が長くは続かない。



「松浦先生!今日はまーちゃん来ないの?」



その言葉が口癖のようになっているかに思えた厳つい顔のおじさんこと中根さんの声。




えっ、森村医師、今日も来るの?


“日詠さんのコトを想うの、もうやめとけ”なんて言われて
なんか顔合わせづらい


昨日、再び顔を合わせて見事にガチンコでぶつかりあったけれど
それでもやっぱり顔を合わせづらいよ・・・



「残念、今、急患の手術に入っていて・・・指3本の再接着術やってるからなかなか手術室から出て来れないかと思いますよ。今日午前中は森村先生は現れないと思います・・」


「えっー、そうなんだ。なんかモノ足りない感じするなあ・・」



松浦先生の返事を聞きがっかりした様子の中根さんとは対照的にこっそりと胸を撫で下ろした私は再び自分のすべきリハビリに再び集中した。


そしてリハビリを終えても松浦先生の言葉どおり森村医師がリハビリルームに姿を現すことはなく、私は内心ホッとしながらリハビリルームを後にした。
その後、コインランドリーに洗濯物を入れに行ったり、祐希を迎えに行って昼食を食べたりと何かしら慌しく昼過ぎまで過ごした私。

ようやくゆっくりできたのはやはり祐希が昼寝をし始めた午後2時すぎだった。





コンコンッ!




< 232 / 542 >

この作品をシェア

pagetop