ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
私のささやかな願いが届かなかったのか
ナオフミさんは彼らしい穏やかな声で答えてしまった。
ついさっきまであんなにシアワセな気分に包まれていたのに
彼のその声で一気にどん底にまで突き落とされたような気になってしまった私は彼と繋いでいた手の力までスーッと抜けてしまった。
患者さんだけじゃなく病院職員に対しても真面目に向き合っていると思っていた彼
それなのにたった今、彼が発したその一言で、
女性からの誘いに簡単に乗ってしまうという
私が知らない“職場での彼の素顔”を垣間見た気がして
なんか知りたくなかったな
ナオフミさんのそんな素顔は・・・
でも仕方ない
実際、彼は注目浴びてるんだもん
病院の廊下を歩いているだけで多くの女性職員が振り返っているんだからそういう誘いがあってもおかしくないし
この先、彼と結婚しても
ずっとこういう気分でいなきゃいけないのかな
ちょっと、じゃなくてかなりブルーな気分・・・
「僕でわかることなら教えるけど、でもさ、食事に出かけるじゃなくて、質問ならナースステーションで受け付けるけど、それでもいいかな?」
誘いに乗ったかと思っていた彼が口にしたその言葉。
それは女心、下心アリアリな看護師さんを突っぱねるような口ぶりではなく、彼女に相談を持ちかけるような丁寧なモノ。
そっか~
彼が口にした ”ああ、いいよ” は
食事にでかけることを了承したんじゃなくて
彼女の質問に応じてあげるっていう意味だったんだ
なんだ~、ナオフミさんってば
あんまりヒヤヒヤさせないで欲しいんだけど・・・
「えー、やっぱりダメですかぁ?今夜、当直なんですか~?」
ナオフミさんに食事に出かけるのをやんわり断られたはずなのに、それでも食い下がった彼女。
丁重にお断りしていたナオフミさんにとって
彼女はハイリスク妊婦さん以上に難渋症例になりそうな気配が感じられる。
あくまでも彼女の姿を確認できていなかった私には・・だけど。
「いいや、今夜は久しぶりにオフだけど。」
「だったら、食事、どうですか?ここでお目にかかれたのも何かのご縁でしょうし♪」