ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
すっかりナオフミさんの難渋症例になっていたイケイケノリノリな態度の彼女に、私は勝手にイラつきを覚えていた。
そして、とうとうそのイラつきに我慢できなくなった私がナオフミさんの陰から身を乗り出し自分の存在を彼女に知らしめようとしたその瞬間。
「悪い。僕、今日は猫がお腹空かせて待ってるから。メシを作ってやらないと・・・だからせっかくの申し出だけど・・・」
彼はそう言いながら力の抜けた状態でもなんとか繋がれていた私の手を力強く握った。
さっきまでとは比べ物にはならないぐらいの力で。
俺を信じろといわんばかりの強い力で。
「えー、日詠先生って猫飼ってるんですか?どんな猫ですか?オスそれともメス?なんて名前なんですかー?」
食事の誘いを断られた彼女なのに、ナオフミさんの猫飼ってる発言がかなり衝撃的だったのか、彼女の興味はすっかり猫をほうに移ってしまっていたようだった。
「ん?そうだな、目がクリクリしていて、結構寂しがりやで・・しかも結構ドジ。」
そんな彼女にゆっくりとだが猫の特徴らしき内容を語り始めた彼。
というか
ウチ、猫なんかいないはず
もしかして私が入院中に飼い始めちゃったのかな?
こんなトボけた疑問を抱いた私まで彼の言葉の続きに耳を傾けていた。
「センセ、その猫、スバリ女の子でしょ♪」
へぇ、飼い始めた猫、メスなんだ
「ああ、甘いモノ、特にみかん大福大好きなのな。」
「えー、そのにゃんこちゃん大福食べるんですかー?」
私が抱いた疑問と全く同じ言葉を彼に投げかけた彼女。
その口調からはさっきまでチラついていた下心らしきモノはもう感じられなかった。
どうやら彼女は、病院内ではクールで有能な医師である日詠尚史という人物の意外な姿を暴くのに必死だったみたいで。
「・・・・まあね。」
みかん大福って
そう言えば、ナオフミさん
もうみかんの旬な時期が終わったからみかん大福はもう売ってないって
彼自身がついさっき言ってたのに・・・
彼が猫飼い始めたのって
最近じゃない?
いったいどこにいるの?
その猫ちゃん
「あっ、そうそう、センセ、にゃんこちゃんの名前は?日詠先生がどんな名前付けるのか気になるー♪」
「まあ、そこまでは・・・」
興味津々な彼女となんだか照れくさそうに返事をしたナオフミさん。
そんなふたりの会話はなんだか和やかなモノのように感じられた。
「そう言わずに、ね、センセ♪教えて下さいよお!」
クスッ・・
「・・・レイ・・・か、ナ・・?」