ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina's eye ケース19:私と彼の足りなかったもの
【Reina's eye ケース19:私と彼の足りなかったもの】
“キミが、スキ”
森村医師が口にしたその言葉
元カレの康大クンにも、さらりと言われたことのあるその言葉
あまりにもシンプルでわかりやすいその言葉
たった今、私の耳に滑り込んできたその言葉は
元カレがそれを口にした時とは比べ物にならないぐらいの重みがある
だって、彼のふざけた時の態度をよく知っている私だからこそわかるから
今、私を抱きしめてくれている彼の・・・真っ直ぐな態度までもわかるよ
『・・・・・・・』
だから、もう私は何も
言い返すことができなかった。
だって、彼が今、
本気であることを覚ってしまったから。
「ここの窓から、屋上の様子が見えちゃったんだ・・・」
『・・・・・・・・・・』
森村医師、見ていたんだ
ナオフミさんが美咲さんを抱きしめたところを
「彼らだけじゃなくて、キミの姿も・・。」
見えてしまっていたのは
彼らだけじゃなく、私の姿も?!
「だから、俺・・・日詠さんに遠慮するの、もうやめるから。」
私がいちいち細かく問いかけなくても
彼は自ら私の耳元でそう囁いた。
「彼はこの病院内で背負わされているモノが大きすぎる。そんな彼にはキミを守りきることはできない・・・どんなに医師としての実力があろうとも・・」
『・・・・・・・・・・』
「でも、俺ならできる・・・だから、俺が全て・・キミの全てを守る。」
『・・・・・・・・・・』
「だから、もう、彼はやめておくんだ。俺がちゃんと守ってやるから。」