ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


私は彼の数々の言葉に対して
何ひとつ反抗できなかった。

ナオフミさんを見下すような言葉まで口にされても。



ココロが弱っていた私には
本気の態度を見せた彼にいつものように対抗するなんて真似は
もうできなかった。





『・・・ウウウウ、、、ワアーーーーーン・・・』




ずっと黙ったままでいた私は
彼の甘く、そして心強い囁きに対してガマンしきれずに
堰を切ったかのように涙を流し、彼の腕の中で泣いてしまった。

白衣を右手でギュッと握り締めながら。




ナオフミさんという共に未来を歩いていこうと約束している人がいるのに
こんなことをしては
森村優という人に甘えるようなマネをしてはいけないことは
自分が一番わかっているはずなのに・・・







でももう
限界だった


彼の甘い言葉に寄りかからずにはいられないぐらい
私のココロは弱りきってしまっていたから




ナオフミさんに・・・私にとってかけがえのない彼に
私だけを見ていて欲しいという身勝手な願望

それは叶わない

その現実を目の当たりにしてしまったから





だから私は

さっき、ナオフミさんに抱きしめられた美咲さんのように
私に手を差し伸べてくれた森村医師の胸に顔を埋め
彼の腕の中でひたすら泣いた。




そんな私を森村医師は強く抱きしめ、そして頭を優しく撫でてくれた。



森村医師、いや、森村優という人は
私が思いっきり泣いてもいい場所を
私に与えてくれていた。





でも私達がいるここは医局のすぐ傍で・・・。


「・・・森村クン、何してるんだ?こんなところで。」


誰にも見つからないわけがなかった。





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