ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



でもちょっぴりホッとしたのも

森村医師がもし本当に私のコトがスキだとしたら
これからナオフミさんと結婚しようとしている私は
森村医師に対してどう反応すればいいのか

わからないから




だから、そうじゃないってわかって

ホッとしたのかな



だって

私はナオフミさんのコトだけ
スキでいられればいいのだから・・・




だからホッとすればいい




・・・そうなんだ







そう自分に言い聞かせながら
やや俯き気味にゆっくりと歩みを進めていた私。

まだ自分の背後にいるであろう人の動向を気になっていた私。


そんな私の背後から










「レイナ・・・・俺・・・・」






突然聞こえてきた声。




なぜかその時の私には
その声には切なさが入り混じっているように聞こえてしまった。



だから私はその声がした方に振り向いた。
反射的に。


もしかしたらナオフミさんの声かもと
自分の耳を疑いながら。







でもそこには








「俺、さっき言ったコト・・・本気だから・・・」






薄暗い廊下のど真ん中で
私を真っ直ぐな瞳で見つめながらおもむろに口を開いた


森村優という・・・・男の人が立っていて






グイッ!




あっという間に私のもとへ歩み寄ってきて

そして

私の右腕を引っ張っていた。


その瞬間、私は気がついてしまった。


私は自分にとってかけがえのない恋人に
真正面切って“スキ”とか言われたことがないというコトを。


そして


今、目の前にいてくれたこの人が
いかに本気で
私のコトを想ってくれているかと言うコトをも。




副院長さんにあんなコトを言った後にでも
私に対していつものオレ様な態度を見せ付けたのも
私が動揺しているのを彼が把握したから



いつもの彼でいることが私の動揺を和らげる

それを彼自身が理解していたから・・・・




それぐらいこの人が

私のコトを見つめていて

私のコトを理解してくれていて


そして



弱りきっていた私を支えてくれているというコトを・・・





ワタシ

・・・・そんなコトに

・・・・気がついてはいけないコトに



気がついてしまったんだ













チュ・・・・ッ・・









『・・・・////』





「俺、悪いコトしてるなんて思ってないから」












だから

ワタシ



私の右腕を強く引き寄せる彼の腕を

彼の唇を

彼のその言葉を

彼の、その想いを




拒むコト


できなかった






ゴメンナサイ・・ナオフミさん


私、全然・・ダメだ・・・・






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