ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
そんなことを思いながら、私はベッドから起き上がり、柔らかいオレンジ色の豆球灯りの下、照頭台の上を撫でるように手で探った。
もしかして、いつものように照頭台の上に
達筆な文字で書かれた彼からのメッセージ入りの付箋が貼り付けていないか
そんな淡い期待まで抱いてしまう私はやっぱりズルくて。
でも、付箋を探してる右手は空を切るばかり。
結局、付箋はなく、それによってよりいっそう激しい後悔の念に襲われてしまった・・・・なんとも情けない私。
彼を・・・ナオフミさんを追いかける勇気もなかった
どうしようもなくズルくて弱虫な私。
そんな私はいつも朝まで目を覚ますことのない祐希がちゃんと眠っているのを確認した上で、深夜の廊下を彷徨う患者さんの一人と化した。
どうしようもない自分からなんとか抜け出すきっかけを探しに。
そんなきっかけのあてなんかどこにもないのに。
「昨日、日勤帯、なんか忙しかったみたいだよね・・」
「そうそう、交通事故で運びこまれた患者さんが3人も居てさ・・・そのうち一人は頸《けい》髄《ずい》損傷だったみたいで・・・バタバタしたみたい。」
「そういえばさ準夜の麻乃ちゃんが言ってたんだけどさ・・・」
「何?準夜帯でも他にもなんかあったの?」
薄暗い病棟内においてトイレ以外で唯一、明るい場所から聞こえてきたヒソヒソ話。
なんか聞いてはならないような雰囲気を嗅ぎ取った私はその場所の手前で足を止めてしまっていた。
「そうじゃないのさ。準夜じゃなくてさ、日勤の青木ちゃんが言ってたらしいんだけど、屋上からドクターが飛び降りようとしたらしくてさ・・・・」
「えっ、それホント?そのドクター誰?まさか、マサルくんじゃないよね?この前、これ以上、ワケのわからない書類増やしたらオレ、マジ、キレるって呟いてたし。」
マサルくんって森村医師のコト?
「ヤツじゃないわよ・・・だってアイツはそういうタマじゃないって。・・・研修医の女医さんらしいわよ。」
そういうタマじゃないって
なんとなくわかる気がする・・・・
「ふーん・・・壁にでもぶつかったか、研修医!でも未遂に終わったんでしょ?・・しかも研修医の衝動的な行動なら別にそんなにも驚くことないじゃん!さ、ラウンドでも行こっかな・・」
キィーーーーーギシッ!!!