ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来




ハサミの握り柄部分を人差し指にひっかけながらニッコリと笑った森村医師。


森村医師が口にした “名物味噌かつピザに、どて煮”

しかも

“アツアツでね♪”・・・・



その言葉、身に覚えがないなんて言えないばかりか
一瞬にしてその場面が頭に浮かんでしまった。




そう、それは・・・・

私が大学生の時に参加した合コンの一場面

合コンはそれまでも親友の真里に誘われて何回も参加していたけれど、
そういう場所にいる男の子の遊び慣れた雰囲気が、自分にはどうも合わなくていつも回りの様子を窺っていただけだった

合コンの雰囲気に気後れして、端っこのほうでただ座っているだけ
だからいつも恋愛どころかお付き合いのハジマリにまでも発展したことなんかなくて


でもこの時は・・・・・



「合コンが始まったばかりの時は、やや派手めな外見とは対照的に大人しい態度のお嬢さんが、男どもにガンガン酒を飲まされて、いい気分で、そう叫んでたんだよね?」


人差し指にひっかけたハサミを小さくユラユラと揺らしながら、私を見つめそう問いかけた森村医師。


その目はどこか挑発的。
私の記憶を呼び覚まそうとでもしてるかのように


もしかして、この人・・・




ブフウッ、クククッ・・ハハハ・・・





『はっ?!』



突然、目の前で吹き出し、そしてお腹を抱えて笑い始めた森村医師。
必死に過去にあったことを想い出そうとしている自分の前で馬鹿にしているような態度を見せた彼のせいで
つい眉間に皺を寄せて声を上げた私。




お酒の席での粗相を今頃こんな風に笑われても

というか、私、もしかしてこの人とも合コン、してた、の・・・?
もしかして元カレ康大クンの知り合いってヤツ??



覚えがないんですけど
もう4、5年もの前の話は・・・




はあぁ・・・
ダメだ、私




「クククっ・・・キ、キミ、その顔、か・な・り、面白いって。」



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