ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来





だから、苦しがっている私が嘔吐できるように口の中に手を突っ込んでくれたりしてくれたのは
康大クンだと思ってた
康大クンが助けてくれたんだって
でも・・・





カチャン・・・・



森村医師によって銀色に輝く楕円形の皿の上にピンセット載せられた音までもが部屋中に響き渡った。
その直後、彼は真剣な眼差しで私をじっと見つめながらおもむろに口を開いた。
なんだか、みているこっちが切なくなるような顔で。



「あの時、キミはかなり嘔吐してグッタリとしていたのに、オレが後からやって来た彼に・・・キミのことを“自分の彼女だ”と言った保険屋のあの男に言われるがままにキミを引き渡したりしていなければ・・・」

『・・・・・・』

「もしかしたら、キミは今頃・・・彼の子供を身篭ったり、あんなふうに彼や内科の三宅女史に、騙されたりしなかったのかもな。」

『・・・・・・・・・』




やって来た彼に、あの男に言われるがままにキミを引き渡したりしなければって



もしかして


『私の・・・私の口に手を突っ込んで、吐かせてくれたのは、森村先生だった・・・の?』




嘔吐を促すような手技

それはもしかしたらそれを施した人物も
吐き気を催すきっかけになるかもしれないのに
そんなマネ、自分だったら絶対したくないのに






「・・・どうだった、かなぁ・・・」


天を仰ぐように天井を見つめながらそう呟いた森村医師。


でも私にはわかった。
この人が私を助けてくれたという事実が。


この人は憎まれ口とか叩いちゃったりするけれど本当は
・・・優しい人だから
私の問いかけに対して肯定せずに覚えてないフリをして誤魔化すことで、私に余計な気遣いをさせないような態度を取ったことが。



やっぱり、あんな無茶なマネしてまで助けてくれたのは
この人
森村医師だったんだ・・・

なんでそんな無茶なマネしたの・・・?



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