ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
ただ、医師という使命感に駆られた・・・から?
ついこの間、屋上から逃げるように走り、医局前で彼にぶつかってしまった私を
抱きしめながらスキだといったのも
きっと、がっかりしていた私があの時、何をするかわからなかったから?
やりかたはどうであれ、きっと
“目の前で苦しがっている人を助けるべき”という
医師にはなくてはならない倫理観に囚われて過ぎてしまって
そんなコトをしてしまったんだよね?
ただただ
私のカラダを
私のココロを
少しでも楽にしてくれようとするために
そうしちゃったんだよね?
そうだよね
森村医師・・?
・・・もりむら、先生?
「なあ・・・一目惚れとか・・運命とか、そういうの、信じる?」
ビリッ!!!
ビリッ!!!
勢いよく封を開けた小さな袋の中から短冊状の白いテープが貼り付けられた台紙を取り出しながらそう呟いた彼。
そして、その台紙からそのテープをピンセットで摘み上げ、抜糸した部分に丁寧に貼り付けた彼の顔は
やっぱり真剣だった。
『・・・・・・・・・・』
彼が口にした、“一目惚れ”
それはいつものように軽く、私をからかっているのではなくて
あまりにも、重みの感じられた言葉だった。
「オレもさ、一目惚れなんて、そんなのねーよ・・そう思ってた。でもさ、やきや亭で、あの男に背負われたキミの後ろ姿を見て、オレはキミを彼に託したのを後悔したんだ・・・・」
『キミの後ろ姿を見て・・・』
そう語りながらも、丁寧に白いテープを貼る処置を続けた彼。
そんな彼の手元を見つめながら、私は彼が口にした言葉をオウム返しするように呟くことしかできないぐらい頭の中が真っ白になっていた。
彼のココロの中にそんな想いが潜んでいたなんて
全く知らなかった、から。