ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


『あ、あの、お、お・オハヨウゴザイマス・・』



かろうじて胸元に巻かれていたバスタオルの緩みを隠すように両腕をクロスさせながら
噛みカミのお返事をした私。


『あ、あの、私・・・』

「ん?」


おそらく真っ赤な顔をしている私と
いつもと変わらないごく自然な表情の彼。


『昨日の夜、その、あの・・・・』

「ん?」


確実に真っ赤な顔をしている私と
やっぱりいつもと変わらないごく自然な表情の彼。


昨日の夜の記憶が一部しか残ってない私を
いっそのコト
からかうなり、罵るなり
煮るなり、焼くなり
してもらうほうが
どんなにラクか


この空気
経験未熟な私には絶えられませんから


『昨日の夜、私・・・お兄ちゃんと・・ヤってしまった覚えがないんですけど・・・』

「・・・・・・・・・・」


さすがの彼もフリーズ状態
やっぱりドン引きするよね
身も蓋もない発言してるんだモン
でもこんな格好してるし、実際のところどうなんだろう?


『あの、実際のところ・・・は?』

「・・・・・・・・・」



クスッ


「伶菜の寝顔って、変わんないよな。」


鼻先で小さく笑った彼は、私の髪にそっと長い指を通しながらそう呟いた。
私なんか足元にも及ばないぐらいの余裕な表情を浮かべながら。



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