ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
「頼む、一刻も早く名古屋に戻ってくれ。」
名古屋に戻る?
入江さんは浜松の人だから
やっぱり入江さん自身がお兄ちゃんを必要としているんじゃないんだ
「・・・・・・・・・」
無言のまま腕組みをしたお兄ちゃん。
「アイツを救い出せるのは、日詠、オマエだけだ。」
昨日会った時は至ってクールな入江さんだったのにこんなにも、すがるような入江さんの声を私は聞いたことがない。
もしかして、そのミサキっていう人
妊婦さん?
命が危ない、とか?
難しい病気を持った患者さん?
でも、なんで入江さんがそんなコトをお兄ちゃんに伝えに来たの?
そのミサキさんっていう人、入江さんの知り合いだから?
どうなの?
もうワタシ、アタマの中、ショート寸前状態
はあっ・・・
「入江さん、俺・・・ようやく彼女と・・・・・」
またまた溜息混じりに一息ついたお兄ちゃん。
その直後、彼が呟いたその声も相変わらず張りというモノが感じられないまま。
「わかってる。」
そんな彼とは対照的にハッキリとした口調の入江さん。
「だから、俺は・・・」
「オマエが言いたいことは充分わかってる。」
「だったら・・・」
ドアにもたれた格好のまま前髪をグイッと掻き揚げ、そして目を閉じ上を向いてそう呟いた彼。
「でも今、アイツを救わなきゃ、アイツはそのまま潰れるぞ。」
「・・・・・・・・・」
入江さんの一言にお兄ちゃんは完全に言葉を失った。