ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
「アイツが立ち直れずにこのまま終わってしまったら、オマエも後悔するぞ!」
「・・・・・・・・・・」
お兄ちゃんに追い討ちをかけているような入江さんの一言によって、上を向いていた彼の顔は俯き加減になり、そしてギュッと唇を噛んだ。
「今、なんだよ・・・・今じゃなきゃダメなんだ。」
「・・・・・・・・・・」
更に彼に追い討ちをかけているような口ぶりの入江さんに対し、相変わらず言葉を返さない彼。
アイツはこのまま潰れるって
今じゃなきゃダメなんて
よっぽど、切羽つまった状態なの?
入江さんがこんなにも必死になって訴えているなんて
やっぱり、よっぽどのコトだよ
お兄ちゃん!
行かなきゃ
今、すぐ行かなきゃ
本当はこのまま一緒にいて欲しい
でも、でも
お兄ちゃんのその手を必要としている人は
私だけじゃない
だって、アナタのその手は
神様から与えられた特別な手なんだから
私もその手に救われた、ひとりだから
だから、私が
自分勝手な感情に任せてアナタを引き留めるコトなんて
きっと許されるコトじゃない
きっと、許されないんだ
バサッ!
「・・・・伶菜・・・?」
彼からベッドにいるよう言われていたのにも関わらず、私はバスタオルを体に巻きつけていたそのままの格好で勢いよく布団を捲り上げる。
そしてドアにもたれたままの彼の傍に駆け寄った。
「お前・・・」
一瞬こっちを向いてくれたけれど、すぐに視線を外した彼。
『お兄ちゃん・・・』
急いで名古屋へ戻るよう促すために彼のもとへ駆け寄ったのに、そんな彼を目の前にした私はすぐに言葉が出ないまま、そう呼びかけるのが精一杯。
部屋の中は喉がカラカラになるぐらい暖房が効いていたけれど、なぜか肩が震えて仕方がない私。
「伶菜・・・」
そんな私が心配になったのか、ようやく私と目を合わせてくれた彼は私の手首を掴みながらベッドのほうへ連れて行き、そっと腰掛けさせてくれた。
そして彼は
「カラダ、冷えちゃうだろ?」
バスルームに向かい、そこからバスローブを持って来て私にそれを羽織わせてくれた。