ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ21:切ない盗み聞き
【Hiei's eye カルテ21:切ない盗み聞き】
『高梨さんのリハビリは、ここで松浦さんが行うのみの対応ですか?」
「いえ、病棟でも1時間毎に自主トレーニングを行って頂いています。」
『意外とハードなんですね。』
「地味にハードなんです。手のリハビリって。自主トレメニューは病棟ナースステーションに預けてあるので、お時間がある時にでもご覧になるとよいかと。」
『早速、見てみます。1日のリハビリの流れとかも知りたいですしね。』
「頑張って下さいね。」
松浦先生による手の外科リハビリレクチャーが終わった。
専門外のことを学ぶこと
それは経験に基づいて記憶することができないために正直疲れた
でも、伶菜のために自分にできることができたかもしれないという手応えは素直に嬉しくて前向きになれる
『もう21時か・・・まだ夕飯、食ってないな。』
医局のデスクの引き出しに入れてあるカップラーメンを手にとり、給湯室で熱湯をいれる。
蓋を閉めたけれど、その隙間から出てきた湯気が指にあたり顔をしかめる。
『昔はカップ麺とか、毎晩のように当たり前に食ってたのに・・・』
伶菜が入院してから続くひとり飯。
仕方がないと頭ではわかっていながらもそろそろ寂しさを感じ始めている自分がいる。
『お手製のクリームシチュー・・・食い、た・・・暫くはお預けだよな。手、怪我してるし・・・』
誤解も解けていないという現状も伶菜達と一緒にいられない理由のひとつなのに
自分が情けなくて、苦しくて
それを言葉にできなかった。