ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
「オレもさ、一目惚れなんて、そんなのねーよ・・そう思ってた。でもさ、やきや亭で、あの男に背負われたキミの後ろ姿を見て、オレはキミを彼に託したのを後悔したんだ・・・・」
一目惚れという感情を自覚して、後悔するぐらい・・・
「・・・そんなキミが・・・再びオレの前に現れた時は驚いたよ。あの時も、オレはキミの傍にいた人に引け目を感じて、自分からキミに声をかけることができなかった。」
「オレが外科当直していた救急科に、私服姿で険しい顔して、キミに付き添って現れたのが、普段はクールな表情しか見せない・・・日詠さんだったから。」
そんな彼が彼女に再び遭遇した
俺が自殺しようとした伶菜をこの病院に搬送した時
彼は遠巻きで彼女を見つめているだけだったらしい
そして
そんな彼女が再び自分の目の前に現れた
しかも、怪我をした患者・・・自分の専門診療科である手の外科の患者として
ココロが動かされないはずがない
運命に繋がる再会
それは俺と伶菜の間だけにあると思っていたのに
彼もその瞬間、そう感じてしまったのか?
「でも、オレ、あの時・・・彼女の手を引いて屋上から立ち去ったアナタにずっと遠慮してました。」
「でも・・・もう遠慮するのやめます。」
「オレなら、彼女のすぐ傍で・・・彼女を守ってあげられる。あまりにも忙しくて、しかもとてつもなく大きな責任を背負わされているアナタみたいに躊躇うことなく・・・・そうですよね、日詠さん・・。」
ドアの向こう側にいる自分に語り掛ける彼からの宣戦布告
運命に繋がる再会というチャンスを
自分の手で掴みに行こうとする彼に
『・・・・・・・・・』
俺は動揺せずにはいられなかった・・・