ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina’s eye ケース22:スキだからスキなのに


【Reina’s eye ケース22:スキだからスキなのに】






森村医師はそう言いながらドアの隙間のほうへ顔を向けた。
鋭い目付きをしながら。

私も彼の視線が差すほうへ急いで目をやる。


そして、そのドアの隙間に駆け寄り、そこから廊下を覗き込むと
すぐ目の前には誰の姿もなかったものの
私の視界には一瞬ではあるが白衣の裾がなびく影が映った。


私は壁にもたれたままでいた森村医師のほうを見る。
ドアを開け、廊下の様子を、その影を確認したいその一心で。



ガタッ!



そんな私の想いを覚ったのか
森村医師は何も言わずにから壁から上体を勢いよく起こした。
鋭い目付きのまま私の顔を見つめながら。
いかにも、自分の目で確認してみろといわんばかりの目をしながら。





ガチャッ・・・・



私は恐る恐るそのドアを開け、影が見えた右側のほうを覗き込みながら見上げると
そこには右手で額を押さえつけながら目を閉じ俯いたまま壁にもたれて立っていた
・・・ナオフミさんがいた。

あまりにも苦しそうな横顔を覗かせながら。



彼にこんな顔をさせたのは
私と森村医師の会話
きっとそうだ


もっと踏み込んだ言い方をすれば
・・・私のせい


ナオフミさんから婚姻届まで受け取っているのに
この先、彼と一緒に幸せなミライを歩んで行こうと決めたはずだったのに
自分のコトを守ってあげられるという森村医師の言葉を遮ろうとしなかった
・・・私のせいだ








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