ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ22:この手からすり抜けた想い


【Hiei's eye カルテ22:この手からすり抜けた想い】





深夜の整形外科病棟処置室。
そのドアの隙間から、森村医師にドア越しに問いかけられた俺。


「オレなら、彼女のすぐ傍で・・・彼女を守ってあげられる。あまりにも忙しくて、しかもとてつもなく大きな責任を背負わされているアナタみたいに躊躇うことなく・・・・そうですよね、日詠さん・・。」




彼女のすぐ傍で
彼女を守ってあげられる

それは俺の役割だったはず


伶菜と生き別れてからずっと捜し続けて
最悪な再会を乗り越えたのに
まだ伶菜の腹の中にいた祐希の心臓病発覚を機に離れ離れになった
それでも、俺は自ら再び彼女の手を取った
同僚の三宅と共謀した彼女の元彼氏が現れて詐欺まがいなことをされても
俺達は離れることはなかった
ようやくここまで来たんだ

それなのになぜ目の前の男がそんなことを当たり前のように言っているんだ?
なんでそんなことを言わせてしまっている状況になっているんだ?

何、やっているんだ
俺は・・・



「・・・・ナオフミ、さん・・・」



ドアを開けて俺に近付いてきた伶菜が戸惑いながら俺の名を呼ぶ。


なんでそんなにも切ない声で俺を呼ぶ?

さっきの森村医師の言葉に
伶菜自身が揺れ動いているのか?


でも、彼女が揺れ動いても仕方はない
森村医師はあんなにもはっきりと自分の想いを打ち明けたんだ

長く続いた一目惚れきっかけの伶菜への想いを・・・


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