ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



『それ、森村先生がご自分でおっしゃったんですか?』

「いや、彼は“高梨さん、2週間入院延長!縫合腱を癒着させずに関節可動域100%キープで!絶対だ!”って無茶苦茶な電話をかけてきた。いつもは“松浦クンに任せるぜえ♪”なんて結構いい加減な電話なのにね。」


私の問いかけに対して込み上げる笑いを押し殺しながらそう答えた松浦先生。

笑われているのは森村医師のはずなのに。



『・・・・・・』


自分自身が笑われているような気になってしまって
黙って俯くことしかできなかった。



「さ、主治医にプレッシャーをかけられたコトだし、気合い入れてリハビリしましょっかね・・」


顔も赤くなってしまった私に気を遣ったのか
松浦先生はいつもの彼らしい爽やかな雰囲気に戻りリハビリの開始を促してくれた。




ようやく慣れてきたリハビリ

縫い合わせた腱が切れないように注意を払いながら指を慎重に動かすという・・一日のうちで最大集中する時間


どんなに考えることがあったとしても
頭を真っ白にして取り組む時間



もちろん
今、この時も・・・





「でもさ、彼と付き合いが長い僕だからわかるけど・・・」




でも、真剣にリハビリに取り組む私に水を差したのは
先程までとは異なり、静かな口調でそう語りかけた松浦先生だった。




『えっ?』

「あっ、ゴメン。つい・・・リハビリ中だっていうのに・・・また後で話しますね。」



ピンと張っていた糸がパツンと切れた感覚

しかも

ただの世間話とかなんかじゃなくて
明らかに私にリンクしていそうな話題

そう、森村医師の話だから・・・


だから

後でなんて言ってられない






『いえ、今、聞かせて下さい。もう集中力切れちゃってますから・・』


ついつい鋭い目付きで松浦先生の目を見つめた私。



「あっ、そっか。じゃあ・・・」



そんな私の態度に驚いたらしい松浦先生はやや気後れ気味にそう返事をした。



『松浦先生、早く!!!』

「あっ、ハイハイ・・・」




ウ、ウン!!!!





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