ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
美咲さんからの突然の告白
いや、これは宣戦布告?!
そう
ついこの間は
私という存在をめぐって
森村医師がナオフミさんに同じようなモノを突きつけていたような・・・
そして今度はどうやら
ナオフミさんという存在をめぐって
私が突きつけられてしまった
そう、宣戦布告
そういえば前にも
ナオフミさんをめぐって
こういう緊迫した場面があったっけ?
それは
内科の女医の三宅さんと向かい合った時だったっけ
白衣姿なのに
明るい栗色の巻髪にバサバサの睫毛、口元にはピンクの艶やかなグロス、そして足元には黒いハイヒール、いやあれはピンヒールだったかもしれない
10メートルいや20メートル離れていても華やかかつ煌びやかな風貌がはっきりと認識できた三宅女史
あの時は “アナタは日詠クンのお荷物なのよ!” なんてキツイ一言で挑発されて、結構ヘコんだっけ?
今、私の目の前にいるのは
同じ白衣姿なんだけど
直毛の黒髪を同色のゴムでひとつに束ね、細い銀縁フレームの眼鏡をかけ、おそらくメイクなどは施されていない至って真面目そうな
・・・同じ女医さんとはいえ三宅女史とは全く毛色が異なる美咲さん
その彼女が私と顔を向かい合わせて口にした
“日詠先生のコトがスキです”という一言
それは
三宅女史のあの一言とは異なり
真剣に紡がれた一言であるゆえに
ズシリと重みが感じられて
ヘコむを通り越して・・・脅威・・・
その単語以外に当てはまるモノがないぐらい
一度は自ら命を絶とうとした人間が
前に進もうと決めてから発揮される底力
それは
経験したことのある自分自身が一番わかってる
だから立場こそ異なるものの
過去の私と同じような境遇にあるかと思われる美咲さんから発せられた一言は
ナオフミさんと森村医師の間でグラグラと揺れていた私にとって
それは“脅威”にしか思えない一言なんだ
「高梨さん、私、この1週間・・・昨日までずっと日詠先生と一緒にいました。」
『・・・・・・・・』
“何が言いたいの? そんな突っ立った格好のままで”