ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



「だから、医局の日詠先生のデスクの上に手の外科やリハビリ関係の本が開いておいてあったんですね・・・高梨さんのためにリハビリの知識を入れようと・・・」


目を見開きながら、かなりゆっくりとしたスピードでそう呟いた美咲さん。



「でも私が勤務している間はずっと傍で教えて下さっていたから、しかも日詠先生は全国学会の抄録の締め切りが昨日までだったはずなのに・・・専門的なリハビリ知識を入れる時間なんて全然なかったはずなのに・・・」


『・・・・・・・』


「それなのにまさかリハビリの知識をそこまで完璧に飲み込むなんて・・松浦先生のところで教わっていたなんて・・・そんな時間いつ・・・?そんな余裕どこに・・・」



さらに両手を交差し自らの両腕で抱えながら若干声を震わせ、驚きを隠せなかった美咲さん。




「余裕なんてないさ。全然。」


「・・・日詠先生?」



ようやく顔をあげ天を仰ぐようにそう口にしたナオフミさんを呆然としながら見つめた美咲さん。







“高梨さん、私、この1週間、昨日までずっと日詠先生と一緒にいました。”



私を煽るようにそう言ってのけた美咲さんだったのに

実はその彼女がナオフミさんの行動を充分に把握しきれていなかったなんて




もしかして
ナオフミさんと美咲さん

屋上でのあの出来事の後

彼らの間には私が想像していたような甘い展開はなかったの・・・?




しかも

ワタシのために
ただでさえ時間に余裕のない彼が

ワタシのために
そこまでしてくれていたなんて




それなのに私

ナオフミさんが美咲さんを抱きしめた姿を目の当たりにしただけで

彼らの事情とかを考えることなしに

森村医師に甘えた上に、さらに一度は彼に寄りかかろうとしたワタシ


サイテーだ・・・








「余裕なんて全然ナイさ。・・・どうやったら彼女・・・伶菜をちゃんと大切にしてやれるんだろうかってな。」




< 342 / 542 >

この作品をシェア

pagetop