ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


ワイシャツの袖に腕を通している最中の彼についそう問いかけてしまった私。

だって、彼は朝、起きたら、ご飯よりも先にシャワーを浴びるのが、いつもの彼の朝のはじまりだから



「浴びて欲しいの・・・か?」

不思議そうな声で私にそう問いかけ返してきた彼。


しまった
なんか私がイヤラシイことを考えているように思われた?!

でも、今から病院に出勤するわけだから、いつものようにシャワー浴びたほうがいいんじゃ

それに昨日の今日だから、そのままだと福本さんとかに
“ナオフミくん、アナタ、あからさま過ぎない?そこらじゅうから、彼女のニオイが漂ってるわよ!” とか小言を言われちゃったりして!!!

それはやっぱり、マズイでしょ?
私のニオイとかは


『あの、だから、そのままだと私のニオイとかがついてるかもしれな・・・あッ!』


しまった、私のニオイなんて
なんて生々しいコトを口にしちゃったんだろう・・・


『だ、だ、だから、お兄ちゃん・・・いつも、朝、シャワー浴びてるし・・・だから、ダカラ・・・・』


もうこれ以上、まともな言い訳が思い浮かばない
その代わりに出てくるのは意味不明な無駄な身振り手振りばかり

咄嗟に彼に背を向けちゃったけれど
背後からこんな怪しい私の姿を不思議そうな顔で眺めているんだろうなぁ
恥ずかしくてもう振り返れないよ


「レ・イ・ナ。」


わざわざ一文字ずつ区切るこの呼び方
うわ~、この人、絶対私をからかうつもりだ
このイジワルな呼び方は絶対そうだ


『・・・・・・・』

今、振り向いたら、絶対、顔真っ赤ってからかわれる
絶対、顔見せるモンか!



「お前の、その、ニオイというか、お前の香りってヤツ?」

『・・・・・・・』

「それ、流しちゃったら、俺、今日頑張れそうにないから・・・」



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