ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina's eye 25:不器用な彼が得ていた信頼
【Reina's eye 25:不器用な彼が得ていた信頼】
”美咲さん、だっけ?・・・キミも来るんだ・・・”
”きっとまだ何かあるはずさ・・・日詠さんのコトだ。このままじゃないだろう・・・”
森村医師が美咲さんに向かって語りかけた言葉。
それがどういう意味を含んでいるのかも私にはまったくわからなくて。
呆然としながら腕を引っ張られている美咲さんも
私と同様に、おそらく森村医師の言葉の真意はわかっていないように思われた。
しかし、そんな彼らに気を取られる様子を見せないナオフミさんは私の右腕を更に力強く引っ張りながら、リハビリエリアをあっという間に抜け出し、人・人・人でごった返している外来診察エリアを横切ろうとしていた。
何かあったの?とか防災訓練?とか聞こえてくる患者さん達や事務職員さんのざわつく声。
ナオフミさんはそれらに構うことなく私の手を引き前に進む。
私の頭の中は
・・・このままどこに行くんだろう
・・・これからどうなるんだろう
・・・腕が繋がったままの自分達は他人にどう見られているんだろう
というギモンに埋め尽くされ、もはやショート寸前。
ガチャッ!!!!!
私の手を引いたまま開けられたドア。
そこには、<病院関係者以外立ち入り禁止>という看板が掲げられていたのに
ナオフミさんは私をそのドアの奥へと導いた。
またまたナオフミさんの大きな背中の影に隠れている格好となってしまった私。
そのドアの奥。
そこは病院関係者以外である自分は見たことのない景色のハズだと踏んでいたのに・・・・
そんな思い込みは
「日詠先生、どこへ行ってらっしゃったんですか?皆さん、先生をお待ちですよっていうか・・・もしかして・・・高・・梨さん?」
ひとりの女性の声かけによっていとも簡単に否定されてしまった。
そう。
そこはナオフミさんにとって自宅以外のもうひとつのホームグラウンドであるはずの産科病棟。