ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
『えっ?!今、なんて・・』
レイナなんて、っていうのは聞こえたけれど
森村医師の相変わらずなオトボケ交じりの言動にあっけにとられていた私はナオフミさんが小さな声で呟いた言葉をちゃんと聞き取れずまたいつもの如く彼に聞き返した。
そんな私に対してかすかにイジワルな笑みを浮かべながら彼は口を開いた。
「・・・2才しか年が違わないのにオジサン呼ばわりしやがって・・って言ったんだ・・・のかもな・・・・」
ガタ、ガタガタ・・・・・ガタ
椅子が床に擦れる音。
それらは不規則にあちこちから聞こえてきて、そちらに目を向けると
ナオフミさんが講義する筈だった母親学級に参加しようと集まっていた妊婦さん達がお腹に手を当てながらゆっくりと椅子から立ち上がっていた。
「ああ、さってと部屋に帰ろうっと。あの謎の男の先生、面白くしてくれそうだと思ったのになあ・・・やっぱ昼ドラには勝てないのかな?」
「しかも日詠センセってば、彼女の名前をあの謎の先生に呼び捨てされたコトにまでヤキモチ妬いちゃってね・・・ここまで彼女に一直線だったなんて・・・ああ、もう1週間でも1ヶ月でも彼女といってらっしゃーいって感じだよね・・・お土産はいらないわよ~。」
呼び捨てられたコトにまで
ヤキモチ・・・・妬いてた??
そしてその場に取り残された私達は相変わらず賑やかな声を上げながらこの場を去ってしまった彼女らの後ろ姿を呆然としながら見つめることしかできなかった。
「・・なあ、お土産って、オレに何を期待してるのかな・・?」
『・・・さあ?』
私も、そしてナオフミさんも
ほんのり赤い顔をしながら。
こんな私達は
森村医師による“懲りない投げkiss”という想定外の行動と
妊婦さん達による“お土産はいらない”という謎の暗示が含まれた発言にあっけをとられていて
「あの、高梨さん・・・私・・・」
四角関係の一角を成していたもうひとりの人物に
気を回すことができていなかった。
その人と私達の関係をはっきりさせないと
私もナオフミさんも
決して前には進めないハズなのに・・・・