ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina's eye ケース27:誰も知らない明日へ



【Reina's eye ケース27:誰も知らない明日へ】




「伶菜さん、コレ、私の新しい住所。そういえば配属先、決まった?」


『うん、一応ね・・・千佳は横浜か~遠いねえ・・』


「だって実家に戻るんだもん。でも、声かけてくれればいつでも名古屋まで飛んでくるからさあ。なんなら、祐希のお守りでもしてあげるよ♪」


『ホント?じゃ、頼んじゃおっかな♪でも、よーく知ってるとは思うけど、保育園児の破壊力をなめちゃダメだよ~。』



怪我で入院していた時に小児科病棟のプレイルームで見かけた少女の ”誰かのためになりたい”という想いから
自分の未来も考えるようになった私が抱いた夢

それは、臨床心理士になって、病気や怪我と闘う人達の心の支えになりたいということだった



その時から3年

両親が遺してくれている有り難い遺産や自分のOL時代に蓄えた貯金を切り崩しつつ
祐希を育てながらも、なんとか大学院に合格し、名古屋国立大学大学院の臨床心理学専攻を終了。

周囲の人達の支援もあって、無事に臨床心理士資格も得たばかりで。



「祐希の破壊力はよく存知あげておりますぅ。ねえ伶菜さん、配属先は?そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」

『別に隠してなんかないってば。名古屋城北総合病院!!!!そこで育児休暇をとってた臨床心理士が急遽やめちゃうことになってさ。斉藤教授に“高梨くん、正職員でしかも託児所付きで募集してるけどどう?”って声かけられて・・・教授の甘く誘うダンディーな声と正職員という響きに惹かれてつい頷いちゃったの。』

「教授の甘い囁きにイチコロってその気持ちわかる!・・・・しかもなかなか今の時期に、正職員、託児所付きっていう好条件ってなかなかないんだよね。だいたい託児所って看護師さん達が優先されるっていうし・・・」



大学院で苦楽を共にした友人の千佳

千佳は私とは異なり、大学、大学院とストレートで駆け抜けたこともあり只今24才だけど、私よりもかなりしっかりした頼りがいのある友人

病院での臨床実習期間中、祐希を寝かしつけてるうちに自分もうっかり眠ってしまいレポートが全然進まない私の携帯電話に毎晩のようにコールしてくれた千佳
彼女がいなかったら
実習レポートの完成も
大学院の卒業も
・・・できなかったことは間違いない

真里といい、千佳といい
彼女らは面倒見のいい友人
私はどうやら世話を焼きたくなるような存在らしい


世話を焼きたくなる、か・・・

そういえば彼も
私の世話を焼いてくれてたな



あれから3年

彼には一度も会ってない
すれ違うことすらない

今、どうしているのかな




でも今更
彼・・・ナオフミさんに合わせる顔なんて・・・ない






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