ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
「そういえばさ、伶菜さん、カレシとか作る気ないの?」
『うん、まあね。なんか勉強と育児で手いっぱいで、そんな余裕なくってさ。』
「でも、達也さんに声かけられたりしてたんでしょ?やっぱり祐希に遠慮してるとかあるの?」
『そんなコト、ないけど・・・・』
そう
自分から彼の手を離したワタシは
彼に合わせる顔なんてどこにもないのだから・・・・
「えー達也さん、いいじゃん。子供好きみたいだし。それに、あれは本気だよ。単なる遊びなんかじゃなくて、付き合えば結婚まで考えてるんじゃない?」
『・・・そんなコト、ないんじゃないか、なぁ・・・』
そう
一度は結婚という話まで出ていたナオフミさんと私だったけれど
それでも自分の意志を貫き通してしまったワタシは
彼に・・ナオフミさんに・・・・合わせる顔なんて
どこにもないのだから・・・
だからワタシは
今、自分の前に拓かれた道を
ただひたすら進むだけ
もしまた彼に出逢うような状況に遭遇してしまっても
絶対に胸を張って
“あの時、ワタシの背中を押してくれてありがとう”
と言えるように
『さ、この話はここまでにして、謝恩会、行かなきゃね♪斉藤教授とかにも挨拶しておきたいし・・。』
「祐希も連れてくんでしょ?」
『おう!教授も連れておいでって言って下さってるしね。』
「斉藤教授は祐希と遊ぶのが日課になってるしね~、斉藤爺やは伶菜さんが卒業するよりも祐希と会えなくなるほうが寂しいんだよね、きっと。じゃ、爺やに会わせてやるか・・」
そして私は
恋を置き去りにしてまでも自分が選択した未来へ
ようやく本格的に進み始めた。