ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
「なんだよ、コレ!!!!!!!!!!」
例え、森村が目の前で発狂しようとも
「ちょっと坂田院長!どういうコトですか、、コレは!!!!!オレ、せっかくこっちの病院に来るつもりで準備とかしてたのに!!!!!!」
森村が城北病院の坂田院長に噛みついても
俺は自分の左手に持った高梨伶菜と書かれた南桜病院の辞令交付書を
彼女の手に確実に渡すことだけに集中した。
「・・・・・・・」
無事に彼女の手の中に収まった辞令交付書。
彼女はすぐさまそれに目を落としているが、あまりにも驚いたのか何も言葉を発せずにいる。
もともとくりくりしているのに、更に大きく見開いた目。
小さくぽかんと開いたままの口。
その顔は一緒に暮らしていた頃、
なかなか購入できない人気店のスイーツを持ち帰って渡した時に一瞬だけ見せる
彼女の顔と同じで。
再びこんな顔を見ることができる日が来たことをようやく実感したんだ。
ついさっき、白衣姿の彼女の後ろ姿を見た時に
もしかして、彼女にはこれから共に歩んで行く男性が既にいるかもしれない
実際に、俺のところに道場破りまがいに乗り込んできた彼女の大学院の同窓生の男もいた
だから、今は公の伶菜と一緒にいられればそれでいい
そんなことを思っていた
でも、俺がよく知っている彼女の顔を垣間見てしまった今、
”公の伶菜” だけじゃ足りない
同窓生の男の存在なんかにも構っていられない
ひとりの女性であり、自分にとってたったひとりの愛しい人である 公私の ”私” の伶菜 までもを手にしたいんだ
もし、それも叶うのならば、何かと伶菜に絡もうとしてうるさい森村もまた俺達の周りをうろうろするだろうけれど、そんな毎日も悪くない
きっと彼もこれからの伶菜を一緒に支えてくれるはずだから
こんなこと、森村本人の前では
死んでも口にはできないけどな
グイッ!
「えっ?!」