ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
これが ”公”の伶菜
これからの時間、
俺はこの ”公”の伶菜としか会うことができない
俺との過去の関係を意識し過ぎていたのか若干たどたどしかった彼女の敬語が
他人相手に話すような滑らかな敬語になる
以前は驚いたり照れくさそうに真っ赤になったり、困った様子で眉を下げたりするなど変幻自在だった彼女の表情が
これからは誰が見ても無害で安定感のある笑顔のみになる
それらのせいで今の俺は
あまりパンチ力がないジャブを打たれ続けていて
とうとう破壊力満載のストレートパンチを浴びたような感覚
俺がずっと欲しかった宝物は
これだけだったのか?
俺が彼女に望んでいたことは
彼女が仕事上の、公の、パートナーになることだけだったのか?
『全然ダメだな・・・・・俺・・・・』
そうじゃないだろ?
俺が欲しがっていた宝物は
”公”の伶菜だけじゃない
祐希の不思議な行動にお腹を抱えてけらけらと笑って
俺が仕掛けるいたずらに頬をぷうっと膨らませて怒って
涙を誘いそうなドラマを観て静かに涙を流し
大好物のスイーツを口にして幸せそうな顔をする
俺が知っている、ダイスキな”私”の伶菜はもちろん
そして
まだ俺が知らない、これから知ることになるであろう”私”の伶菜までも
俺は欲しかったはずだ
だったら
今、目の前には姿が見えない、伶菜の隣を歩くかもしれない人間に対して遠慮する前に
俺にはすべきことがある
『行くぞ!!!!!!伶菜!!!!!!』