ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


それでも、何かあってはいけない、俺にまで迷惑をかけるわけにはいかないと食い下がる駅員。
あまりにも必死な彼。


乗客の安全安心を守る公共交通機関の一社員としては優秀なんだだろう

でも、ようやく得られたふたりの時間である今は
見逃して欲しい
そっとしておいて欲しい


『迷惑・・・迷惑かけて欲しいぐらいです。もっともっと。大切な人だから・・・』


だから、彼の心に届くように本音をこぼす。
知らない人だけど、これが一番てっとり早い
そう思うから。



俺から見たら自分よりも若そうな駅員である彼
恋愛にも興味がありそうな世代に見える
だからきっとわかってくれるだろう


「失礼致しました。お客さまのお連れ様だったんですね。今、救急車を依頼します。加藤さん、救急車呼ん」



でも、今は救急車はいらない
伶菜は俺がいれば充分



「お医者様ですか、じゃあ安心ですね。では、改札が混雑していますので、こちらの駅員通用口をお通り下さい。」



ほらやっぱり彼は優秀
救急車を呼ぼうとするところだけではなく
駅員通用口まで通してくれるところなんかも

切符を受け取り忘れて伶菜を焦らせてしまったことは
若干残念かもしれない



『他の男の腕に抱かれそうになるなんて・・・・・・』


『あり得ない、よな・・・・』



俺にここまで情けない言葉を吐かせてしまうことも
かなり残念かもしれない




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