ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina's eye ケース31:勇気をもらった盗み聞き


【Reina's eye ケース31:勇気をもらった盗み聞き】






『あの、そろそろ・・・』


「・・・・・・・・・」


駅の関係者通用口から外へ出た私達。
もちろん私はナオフミさんにお姫さま抱っこされた格好のままで。
やっぱりいつも口数が多いとはいえないナオフミさんは黙ったままで。




・・・・現在86歩。

やっぱり50歩でこの抱っこ姿から解放されることはなく

私は抱っこされたまま、また真っ青な空を見上げた。



10階立て位の建物の屋上の壁面に掲げられている白い文字
名古屋南桜総合病院


ナオフミさんが産科医師として従事していて
私の両親も生きていたころ
父は産科医師として
母は小児科専属の保育士として
ここに従事していた


そしてこれからは私も・・・・・




“自分も誰かの役に立ちたい”
“職種は異なるけれど母のように病気に苦しむ人たちのすぐ傍で、彼ら彼女らの心の苦しみが少しでも軽くなるように寄り添っていたい“


そういう想いを抱きながら大学院で臨床心理学を学んだ

就職活動中は求人数が少なかったこともあり
まさか非常に人気のあるこの病院で自分が働かせてもらえるなんて思ってもいなかった


でも今
こうしてここまで来てしまった
今でも信じられない・・・

ナオフミさんに手を引かれてここまで来てしまったけれど

臨床心理士1年生の私が
お父さん、お母さんそしてナオフミさんみたいに
ちゃんと誰かのために役に立てるのかな?










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