ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



弱い自分

日詠先生はそう言った




確かに私は弱い




付き合っているはずの男に捨てられて自殺しようとした弱さ

お腹の中に宿った小さな命がちゃんと大切にできるか不安になって・・・その小さな命と一緒に消えてしまおうとした弱さ

大切にすると言ってくれたナオフミさんの傍にいた美咲さんの存在に不安を覚えた弱さ
その不安に負けそうになり森村医師の強さ・優しさに惹かれてしまった弱さ



数えだしたらキリがないぐらい

私は弱い・・・・





そんな私なのに
遺伝相談という仕事が務まるのか
正直自分でも自信がない


日詠先生がこうやって私を推薦してくれるのは嬉しいけれど

その分、きっと日詠先生に迷惑をかけてしまう

私がドジをすると日詠先生の足も引っ張る



そんなの
やっぱり耐えられない



『福本さん。アタシ・・・・・やっぱりこの仕事できませ』



私はそう言いながらドアノブに右手をかけた。
入職して約10分足らずで辞意表明。
カッコ悪いけど迷惑をかけるならそれでもいいと思って。

でもその右手は福本さんの手にあっさりと遮られた。


「最後までちゃんと聞くのよ!!!!伶菜ちゃん!!!!!アイツを信じなさい!!!!!!アイツはアナタ以上に伶菜ちゃんのコトちゃんと理解してるから!!!!!」


福本さんにしては珍しく真剣な口調で。



「だから信じなさい。彼を。」


私は力強い眼差しをのぞかせた福本さんをじっと見つめドアノブから右手を離した。




そして会議室内から再び聞こえてきた声。


「自分の弱さ・・・・それを知っているから、患者さんの弱った気持ちを共感できる。」


「共感というのは確かに大切ですね・・・」



臨床心理士として耳を傾けることの大切さを充分知っているはずの中谷さん。
そんな彼女は日詠先生の“共感”という言葉を受け入れたような口調でそう答えた。



「だから強くなれる。そんな彼女をずっと見てきたから・・・僕はそう思う。」


「ずっと見てきた・・・んですね・・・彼女を。」



ゆっくりと丁寧に言葉を紡ぐ日詠先生を
中谷さんもじっくりと受け入れているようだった。



でも・・・・



「でもそんなのは結局、全部僕が取ってつけた正当そうな理由で・・・・・・」





私の気のせいか
日詠先生の声色はなんだか照れくさそうに聴こえた。



「・・・・えっ?」


私だけでなく中谷さんまでも日詠先生の変化にちょっぴり動揺したらしく







「僕が彼女に守られてきたから。」



えっ???



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