ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


「3年前、伶菜ちゃんがナオフミくんのところから出て行ったって聞いた時には心配したのよ。ふたりはどうなっちゃうのかって。」


『・・・・・・・・・』


福本さんのその言葉から
3年前、病院の屋上でナオフミさんと別れた時の風景がふっと頭を過ぎり、言葉を発することができなかった私。



「で、あの時、ナオフミくんに問い詰めたの。“伶菜ちゃんのこと、手放しちゃって大丈夫なの?”って。そうしたら、彼、なんて答えたと思う?」


『えっ?!』


3年前、離れ離れになってしまった私達

ナオフミさんの自宅から出て行く時も、私とナオフミさんはお互いの気持ちを確認するようなことはすることはなかった


そんなことをしたら、ナオフミさんから離れ難くなるのは充分にわかっていたから
もしかしたら彼も・・・・そんな私の気持ちを察していたのかもしれない


でも、彼の傍に戻ってこられた今だから
あの時のナオフミさんの気持ち、知りたい





「アイツ・・・“手放すなんてハナっから思ってない。もし、そうなってしまっても、その時は自分の手で取り戻しにいく。必要だから、俺には。”・・・だって・・・・・」


『・・・・・・・・・』



あの時、彼とは別れたと思ってた

でも、ナオフミさんのココロの中では
そうじゃなかったんだ・・・・



「彼女にふさわしい男にならなきゃな・・・なんても言ってたわ。で、職権乱用し、今に至るワケ。」


『あっ、はは・・・』


意地悪な笑みを浮かべながらそう呟いた福本さんと目が合った私は苦笑いするしかなかった。


「でも、アイツ、職権乱用するまで、このチームを立ち上げるまで更に過酷な勤務をしてた。それでもさ、少年のような顔してこう言ったの。“自分のやりたいコトを大切な人と一緒に進んでいけるかもしれないってこんなにワクワクするんだな”だって。」





“大切な人と一緒に”

ダイスキな人から紡がれたらしいその言葉によって胸がじんじんと温かくなった



私も密かにそんな想いを抱いていたから

もう叶わない夢だと思っていたけど・・・・




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