ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
「日詠先生?連れて帰るって、高梨さんを・・・ですか?」
耳を疑ったのは私だけではなく
中谷さんもだった。
「彼女がせっかくその気になってるのに、今を逃すと今度はいつチャンスが巡ってくるかわかんないので・・・・3年前にも逃してるし、俺・・・」
『へっ?』
思わず漏れてしまった声。
でも、彼の胸に自分の顔が埋もれていたせいでその声は周りの人達には聞こえてなさそうだった。
「油断してるとどんどん魅力とか増してくから、危なっかしくて・・・」
それなのにナオフミさんは
彼らしくない想定外の言葉をどんどん紡いでいった。
彼のココロの中を覗かせてくれるような言葉を。
「なので、今日はこれぐらいで勘弁して下さい。ちゃんと先輩として指導しておきますから。」
でも、公のこの場所で
私にもちゃんと居場所を与えてくれる言葉も忘れることなく。
「あと、中谷さん。」
「はい?」
中谷さんは彼の呼びかけに対し溜息混じりな声色で返事をした。
「彼女のフォロー、頼みます。こんなふうに暴走しちゃうこともあるけど、なんせ一生懸命なんで・・・・・」
「ふふ、日詠先生からの直々のお願いは断れないですわ。悔しいけど、彼女面白そうだから面倒とかみてもいいかも。イジメがいがありそうですしね♪」
「ははは・・・じゃ、よろしく。」
ナオフミさんは私だけでなく
中谷さんにもちゃんと居場所を作ってあげていた。
そのさりげない優しさ
相変わらず変わらない・・・・
ガバッ!!!!!
彼の優しさに胸がジンジンとしていた私の身体が突然、彼の胸の中から引き離された。
「ほら、行くぞ!」
そして強く掴まれた私の右手。
『えっ?』
「・・・・・・・・」