ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
駐車場に戻ってきた私達は再び車に乗り込んだ。
言葉を交わさないまま車は再び動き始めた。
車窓から見える景色は新緑に包まれていた静かな空間から人通りの多い賑やかな空間へと流れている。
あと5分も走れば、私の大学院の建物がみえてくる
目的地はどこなのか?
さっきの両親の墓地だったのか?
それともさっき“背中を押してもらう”って言ってたから・・・・まだどこか他の場所へ行くのかな?
そう考えを巡らしていたその時、再び私の右手指と彼の左手指がゆっくりと絡んだ。
慌てて彼の様子を窺うと彼は右手でハンドルを握ったままじっと前を見つめたままだった。
先ほどのような力強い眼差しで。
繋がった手指から感じたは彼の体温だけでなく・・・・彼の気持ちの強さもだった。
“俺に付いて来い”・・・・・そんな気持ちの強さ
だからもうどこへ行くかとか聴く必要はなかった。
今、この瞬間がたまらなく心地よく感じられた。
ふたりで一緒に前に進んでいるという心地よさ
大切にされているという心地よさ
愛されているという心地よさ
そして・・・・
どこまでも今という時間が続いて欲しいという心地よさ
でも、そんな想いは彼に届かなかったのか、車は再び停められた。
ずっと絡み合っていたお互いの手指も一瞬だけ強く絡み合った後、ゆっくりと引き離されてしまった。
いつもの私なら
手指を離されてしまった事実から
そこに取り残されるような不安に襲われるんだけど
この時の私はそんなことは微塵も感じなかった。
彼の気持ちの強さ
それが私の不安を掻き消してくれていたから。
そんな私達が次にたどり着いた場所は
私にもかなりお馴染みな場所だった。
「行ってくるな。」
『・・日詠セン・・あっ、ナオフミさん。私は・・・私はどうしたら、いい?』
車のドアノブに指を引っ掛けようとしていた彼に問いかけた。
「・・・見守っていてくれればいい。」
そう答えた彼。
その表情からは緊張感を感じずにはいられなかった。
『わかった・・・』
こうしたほうがいい、ああしたほうがいいとかは言わない
どうしたらいいのか
きっとアナタのほうがよくわかっている
そう思うから・・・・
ガチャッ・・・・バタン
・・・ガチャ・・・バン!!!!!!
運転席側のドアをそっと閉めたナオフミさんの後を追いかけようと私は慌てて助手席側のドアを開け、すぐさま乱暴気味に閉めた。
そして前をゆく彼の真っ直ぐに伸びている大きな背中を追いかけた。