ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
その後、来た道を戻る。
春風に乗ってふわりと浮いている桜の花びら。
伶菜はそれを穏やかな表情で目で追いながらも声を挙げたりはしない。
俺もこの後、向かう先を彼女に伝えるべきかどうするか迷っているうちに駐車場に到着してしまった。
今度は自ら助手席に乗り込んでくれた彼女に声をかけるきっかけを失う。
でもその横顔からは何ひとつ不安要素を抱えているようには感じられない。
彼女のそんな姿に背中を押され、俺はそのまま車のアクセルを迷うことなく踏んだ。
高梨の両親が眠っている墓地から、見慣れた場所に景色が移り変わる。
昨日、南桜病院に伶菜を連れてくると福本さんに伝えた時に教えてもらった場所に近付く。
福本さんもつい最近、伶菜の親友の真里さんからもらった情報だと言っていたその場所。
さすがの伶菜もその場所がわかるところまで来ていることは感づいているんだろう
『行ってくるな。』
「・・日詠セン・・あっ、ナオフミさん。私は・・・私はどうしたら、いい?」
俺を支えたいという彼女の想いがひしひしと伝わってくるその言葉
でも、これは俺が自分で乗り越えなければならない
俺が離してしまったもうひとつの手
それを再び掴むのは
誰の助けも借りてはならない
彼女の宝物であり
俺の宝物でもあるのだから
『・・・見守っていてくれればいい。』
「わかった・・・」
どんな反応も
どんな言葉も
すべて受け入れる
俺達はここからまた始めればいいのだから