ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
これからの俺も
知って欲しい
『だから少しずつでもいい。それでもいいから教えてくれないか?キミのコト・・・それとキミのお母さんのコトを。』
俺も今までの、そして、これからのキミとキミのお母さんのことを
知りたい
空白だった3年間も
そしてこれからの未来も
彩豊かになるように
キミとキミのお母さんと一緒に創り上げていきたい
「キミじゃないよ・・・・」
俺の瞳の奥をじっと見つめながらそう呟いた少年。
「ボク、キミってなまえじゃないよ・・・ゆうきだよ・・・・・・パパ。」
迷いのない、その言葉に
「やっぱり、パパだ。」
はっきりと言い切ったその言葉にも
俺はもう一度、彼の父親になるという勇気を貰い、躊躇うことなく両腕を大きく広げた。
満面の笑みで俺の胸の中に飛び込んできた彼を強く抱きしめた。
久しぶりに抱きしめた感覚は以前感じていた乳児特有の柔らかさではなく、元気いっぱいの力強さを
彼を受け止めた腕を介して感じ、胸の奥がじんと熱くなった。
そんな中、聞こえてきた伶菜の優しい嘘。
俺はどうやら、高梨の親父と同じく空の仕事でハワイに出向していたらしい
やっと戻ってこれたなんて、俺はこの3年間消された存在ではなく、彼らの家族でいさせてくれたことにも嬉しさを覚える
俺の空白だった3年間は
このふたりのおかげであっという間に鮮やかさを取り戻した
祐希と彼の友達と一緒にボールで遊んでいるのも
俺にとって新しい色
こうやっていろいろな色が増えていくんだと
実感している中
「ナオフミさん、車の鍵、貸して!!!!!」
そっと涙を流しながらじっと見守っていてくれた伶菜が
俺と祐希の手を強く引いて走り始めた。
俺達の前をゆく彼女の後ろ姿は
今までに見た中でも一番頼もしい
そう感じずにはいられなかった。