ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ32+α:僕を導くのはいつだってキミ


【Hiei's eye カルテ32+α:僕を導くのはいつだってキミ】




俺が伶菜と3年ぶりに再会したこの日。
俺には3つ成し遂げたいことがあった。

1つ目は彼女が勤務するはずだった名古屋城北総合病院から自分の勤務する南桜病院のへ人事異動と物理的移動のサポートをすること
2つ目は彼女の両親であり、俺の育ての親であった高梨夫妻が眠る墓参りで、伶菜との結婚の許しを貰うこと
そして、今、3つ目の彼女の息子の祐希との再会を果たすこと。

3つすべてを成し遂げ、祐希がいた保育園からの帰り道。
達成感にこっそりと酔っている俺。
ふたりとも白衣姿のままであり、気軽にカフェとかに寄れないため、とりあえず自宅マンションへ彼女達と一緒に向かおう・・・そう思いながら自分のクルマの運転席に乗り込もうとしたのに、俺はあっさりと後部座席に座らされた。


そして伶菜はというと

「ちょっと待って下さい!今、目的地、設定してるので!」

運転席を陣取ってさっきからずっと一生懸命、カーナビの目的地入力を試みているらしい。



『俺、やろうか?行先、どこだ?』


「いい、いいです!!!!!大丈夫!ハイ、見ないで下さい!!!!」



口をへの字にしながら俺の顔の前に手をかざし、俺の動きを制止した。
俺がカーナビを覗きこんでいないことを確認した後、再びカーナビの設定を試みた彼女。



ポーン♪・・・・目的地を設定しました♪


「よし!!!!!さ、出発しまーす♪」


その元気な声とは裏腹にかなり慎重にアクセルを踏む彼女。



「ママー、みち、だいじょうぶ?」



隣から聞こえてくる彼女の息子祐希の声。


『もーう。祐希。余計なコト、言わないの!!!!』



子供相手でも容赦なく頬を膨らます彼女。
それでも、その横顔はあの時よりも頼もしく感じられた。

今にも電車に飛び込もうとしていたあの日の彼女の横顔よりも・・・




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