ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
でもそんな俺を救ってくれたのも伶菜だった
自分が勤務する病院に戻り、福本さんから聞かされた伶菜本人からの俺宛の電話
それが俺を救ってくれた
昔から電話とかがどうも苦手な俺だったけれど
伶菜がくれたきっかけ・・・彼女と再び向き合うことができるチャンス
俺はまた後先考えないまま携帯をズボンのポケットから取り出して彼女の携帯へ電話をかけた
自分のすぐ傍に福本さんがいるのも気にとめないまま・・・・
でも受話器の向こう側の彼女は泣いていた
俺は彼女を泣かせてしまった自分を責めた
それなのに伶菜はまたもやいとも簡単に俺を救い上げてくれた
“声が聴きたかった”という言葉ひとつで・・・・・
それは俺の想いとピタッと重なる言葉だった
自分が守らなきゃいけなかった彼女
自分が守れなかった彼女
それなのに
その言葉ひとつで自分の存在を求めてくれた彼女
約四半世紀の時を経て、再び彼女の兄になったはずの自分なのに
認めてはいけない感情を認めずにはいられなかった
“ただ彼女が愛しい”・・・・・そんな感情を・・・・・
でもその時はそんな感情も自分の胸の奥に閉じ込めておくことにした
彼女の傍で彼女を守ってやるために今度こそはちゃんと彼女の兄になる
その時はそう決めてたんだけどな・・・・
そして兄という立場で伶菜と生活を共にした日々
その頃は多忙で顔を合わせられないことが多かったはずなのに
すれ違っているという感覚はなかった
一緒に過ごしている時間は
とても穏やかで
子育てを意欲的に取り組んでいる彼女の姿をみると
こっちまで頑張ろうという気にさせられたりしていた
その姿は電車に飛び込もうとした彼女からは想像つかないくらい
凛とした美しさを増していて
兄という立場だったのにもかかわらず
高梨伶菜という人間に
どんどん惹かれていく自分がいた
このまま兄という立場でいたほうがいいのか
それとも
“彼女がただ愛しい”という
自分の本当の気持ちをさらけ出してしまえばいいのか
そんな葛藤に頭を悩ませるようになっていった
でも自分ではどうしたらいいのか結論を出せないまま
ただこの穏やかな時間がずっと続いて欲しいと願っていたなんとも弱い俺
そんなんだから
伶菜の前の彼氏に金目当てでつけこまれたり
森村が伶菜にせまったりするスキを与えてしまったり
そいつらには
“ただ彼女が愛しい”という想いを抱いているだけでは
彼女を守れないことをイヤという程思い知らされた
『ただ彼女が愛しい・・・か・・・』