ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来

閉められてしまった自動改札にもたれかかり、足の指先で貧乏ゆすりをしながら駅員さんが再び現れるのを待っていた私。

その頭の上のほうから聞こえてきた声。

あっそんな、
こんなトコにいたら、新幹線、乗れないよ
早く病院に行かなきゃいけないのに

動物園にでも出かけるよう格好をした5人家族やら
コンパクトなスーツケースを携え、東京土産らしき紙袋をぶら下げた老夫婦やら
日曜日なのに背広姿のサラリーマンやらに
冷ややかな上から目線を浴びせられている私。

その中にまぎれているつもりなのかもしれないけれど
背が高いからそんな中にいても、すぐに見つけ出せた彼の姿。

ああ~
なにやってんの?・・・って顔に書いてある


『なんで?なんで?』

「ん?」

『なんで、ここに?・・・間に合わないよ。』

「お前の声がさ、聞こえたからな~。」


半泣き状態で自動改札にもたれかかっていた私のところに、、彼は必死に笑いを堪えてながら近寄って来た。


『でも、新幹線が・・・・行っちゃうよ・・・』

「お前、アナウンス、聞いてなかった?」


???

アナウンスって
間もなく到着するっていうのは聞こえたけど


『き、聞こえたけど・・・』

首を傾げるしかできない私。


「俺はこだまでのんびり名古屋に戻る時間ないからな・・・。6時40分発のひかりに乗る。」

『・・・こだま?ひかり?』

「ったく、入江さん。ひかりが33分発なんて間違いを教えやがって!あの人、酷い男だよな・・」

悪態をつく余裕がある彼。


こだま?ひかり?
さっきのアナウンス、こだまって言ってたの?
急いでるお兄ちゃんはひかりに乗るはずだから

だから、お兄ちゃんは今、
ここにいる余裕があるの?
ヨカッタ、間に合ったんだ、ワタシ・・・・


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