ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ3:彼女の気遣いに甘えた朝

【Hiei's eye カルテ3:彼女の気遣いに甘えた朝】



伶菜に背中を押して貰い、トラブルがあったらしい名古屋の病院に戻ることにした俺。



彼女と一緒に帰る準備を始めようとしているところで、

「日詠、取りあえず、開けろって!」

再び、部屋のドアを激しく叩く音が聞こえてきた。



多分、入江さんはもう引き下がらないと踏んだ俺は、ドアを開ける前に、バスローブ姿のままの伶菜をとりあえずベッドルームに行かせなくては・・・と彼女のほうを向いた。



だが、彼女は俺を素通りして、部屋のドアへ向かい、


「伶菜サン?!・・・って日詠、オマエ・・・」


あっという間にドアを開けてしまった。




伶菜は、入江さんがあのまま部屋のドアの前で待たせてはいけないと気を利かせてドアを開けたのだろう

でも、彼女の格好
それにかなり問題あり

ラフに着ているバスローブ姿
寝グセを直していないせいか、キレイなうなじが丸見え
しかも、真っ赤に染まった頬


『伶菜、お前な・・・』


誰にも見せてやりたくない彼女のその姿なのに
彼女自ら他人の前で晒す格好になり、自分から行くなよ・・と俺はつい溜息をついた。


「そういうコトだったんだな、ゴメン・・・伶菜サン、忙しいトコ邪魔しちゃって・・」


そういうコトだったんだなって
忙しいトコ邪魔してって

わかってるはずだろ?

ここの部屋、押さえていいてくれたのは
他の誰でもない入江さんだからな


わかってるはずどころか
そういうコト・・・とかしてない

したくても
しようと思っていたけれど

ずっと捜し続けていた伶菜が腕の中にいることに
胸がグッときて
スヤスヤ眠る伶菜を起こすことなんてできなかったんだ

しかも、伶菜は
その場から逃げるどころか、入江さんに向かって愛想笑いしてみせているぐらいだ


なんか凄くイヤな予感がする
そう思った瞬間。


「日詠。伶菜さんは預かった。だから、早く準備しろ!」


入江さんは俺に全く遠慮することなんかなく、伶菜をあっという間に抱え込んだ。


< 60 / 542 >

この作品をシェア

pagetop