ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


でもその瞬間。
改札口のほうから聞こえてきた声。


それは、

「ハイハイ、入場券、買って下さいね。買う時間がないなら証明書あげるけど。」


やや面倒くさそうに客らしき人物に入場券購入を促す駅員の声。

そして、


「ああ、もう、その証明書・・・それ下さい!あとで払いますから!!!」


駅員に対して食ってかかるような態度で
俺のモヤモヤ感を吹き飛ばす
そんな威力がありそうな

『伶菜?』

俺がずっと一緒に居たかったはずの

『・・・・伶菜なのか?』

そんな人の声。


自動改札を通過できずにその場で駅員を待っている彼女の姿は
日曜日の駅の改札ではまず見ることがないであろうと思えるぐらい焦燥感満載。


何やってるんだか・・・
でも、ちょっと笑える
こういう彼女をみかけるのは本当に珍しい
一緒に住んでいたんだけどな

しかも、なんでここにいるのなんて
人のことを化け物をみるかのような視線でも訴えかけて
しかも、俺がまだここにいる理由を告げると
へなへなと足の力が抜ける始末。


そんな彼女の体を支えようとした瞬間。

「入場券はちゃんと購入しましょうね。ハイ!伶菜さん!」

駅員でもないのに、駅員よりも先に自動改札のドアを開放した男が視界に入り、
俺よりも先に彼女の体を支えた。


『ひかり、40分発でしたよ!あと5分はホテルでのんびりできたのに・・』


一歩で遅れた俺はすぐさま彼女を奪い返すように支え、悪態をつかずにはいられない。

それだけでは気が収まらず、昨日、伶菜のドレスを目の前の男・・・入江さんと一緒に運んできてくれた高島さんの名前まで利用して、この場から彼を撤収させた俺。

慌ててこの場を立ち去った彼の珍しい慌てぶりに
高島さんとの関係が垣間見れて笑いが止まらない俺。


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