ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
「・・・・・・・・・・・・」
あらっ、入江さん、無反応
やっぱり、マズかったよね
あんなみっともない格好見られてしまったコト
だって、私の背後で
お兄ちゃんまで呆れたようすで顔を覆ってしまってたぐらいだモン
どうしよう、この空気
ポーン!
クッ、クックッ・・・・
車が浜松北インターのETCゲートを通過したお知らせ音がした直後、聞こえてきたごく小さな笑い声。
今朝のお兄ちゃんだけじゃなくて
入江さんにも笑われた?!
「ゴメン、笑うつもりはなかったけど、つい。さっき、ホームで日詠があんなことしてるもんだから、つい思い出しちゃって・・・・」
あんなコトって
ホームでって
もしかして・・・・・
『き、キスしてたとこ、見られてた?!あっ!!!!!』
私は慌てて手で口を塞いだけれども
「驚いたよ。今まではあり得ないから。アイツが、日詠がさ、自ら人前でそういうことをするなんてな。」
入江さんは結構速い速度で運転しながらも、私の迂闊な発言を聞き逃してはいなかった。
『だから、その、あの、○×△☆□?◎◇・・・・』
朝早くから入江さんに
自分のバスローブ姿を見られてしまっただけでなく、お兄ちゃんとキスしている現場を見られていたという恥ずかしさも加わって
顔が真っ赤になることを通り越して、完全に壊れてしまった私。
そんな私は
誰にも止められないぐらいキケンです!
『だ、だからッ、入江さんこそ、策士ですっ!』
「ハイハイ」
『高島さん、キレイな人ですね。』
「そうだね。」
『高島さんとはどういう関係ですか?』
「ただの教え子でただの数学教師の後輩。」
私の暴走をいとも簡単にかわしてしまう大人な態度の入江さん。
あのお兄ちゃんでさえ、彼の訴えに従わざるを得なかったぐらいだもん
私の暴走をかわすことなんて、朝飯前だよね
『で、入江さん、まだ、綾さんのコト想い続けているんですか?』
そう決めてかかって彼に投げかけた私のあまりにも無神経な一言は
「・・・・・・・・・・」
大人だと思い込んでいた入江さんをいとも簡単に閉口させてしまった。