ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
暫く沈黙の車内。
それでも車は名古屋に向かって速度を落とすことなく前へ進んでいた。
そして浜名湖と書かれた緑色の看板とともに飛び込んできたまばゆくそして開放的な景色。
いつもの私ならその景色を思う存分楽しむはずなのに
さっきの不用意な発言によって私は・・・そんな気分にはなれなかった。
だから私は
『ごめんなさい、私、余計なことを・・・』
素直に謝った。
クスッ!
今、また笑った?
「きっと、そういう素直なトコが、アイツを、日詠をあんな感じに変えちゃったんだね。」
『えっ?』
「おっと、今は日詠の話じゃなかったね。・・・謝らないでくれるかな?蒼井綾という人物とはいい関係を続けてるから。」
えっ、だってお兄ちゃんは
入江さんは10年越しの大失恋したって言ってたけど
『じゃあ、入江さんも・・・今は、綾さんと恋愛してる関係なんですか?』
私は入江さんも私と同様に今、幸せなのかと思いそう声をかけた。
でも、、、それはあまりにも愚問だった。
「違うな。蒼井と僕は・・・昔は生徒と教師という関係だったけど、今は母親のリハビリの先生と患者の家族という関係。でも、そういう関係も悪くない。そうそうあることじゃないしね。」
ルームミラー越しではあるが
入江さんの表情はスッキリとしたモノに見える。
強がりから来る発言ではなく、彼の本音。
彼の表情からはそう読み取れたような気がした。
そんな入江さんの反応から
ついさっきまでのあんなにも重くなってしまっていた気持ちが少しだけ軽くなった私。
そんな私はそれでもまだ入江さんに聴いておきたいコトがあったけれど
でも、もうこれ以上、暴走は許されない
『・・・・・・・・』
だから私は再び口を閉ざすことにした。
でも、そんな私の心の中も入江さんは
「・・・質問はもうそれだけでいいの?本当は美咲のコト、聴きたいんじゃないのかな?」
いとも簡単に見透かしていた。