ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


『・・・・・・・・・』


再び暴走するのを恐れて何も口にしなかった私だったけれど、
今度はあまりにも図星な言葉を投げかれられて・・・何も口にできなかった。


「聴きたくなかったら、暫く耳を塞いでおいて。聴きたければ堂々と聞いていればいいからね。」


こんな時まで私に気を遣ってくれる入江さん。
私は、黙ったまま耳を塞ぐことなくゆっくりと頷いた。


入江さんは車を減速させずに前進させるためにずっと前を向いていて、ルームミラーで私の様子を確認しようとしても
助手席の後ろの席にいる私は彼の視界の死角にいるはずだから
私がここで頷いても彼に見えるはずがないのに

私はそういう無駄な動作をもせずにはいられなかった。


「ミサキっていう名前はさ、“美しいに咲く”と書くんだけど苗字なんだ。」


そして、ミサキさんについて語り始めた入江さん。
もちろん、運転スピードは一定のまま。


ミサキっていう名前は
美しいに咲くと書くけど
・・・苗字?

だって美咲っていう漢字だよね?

いかにも女の子っていう名前だけど
それを苗字だって教えてくれたということは


『美咲さんって、男の人なんですか?』


さっき余計なことを口にしてしまったから
ダンマリしておくって決めていたのに
ついつい言葉を発してしまった私。

だって、お兄ちゃんがあんなに急いで名古屋に戻ったから
美咲さんという人はてっきり産科の患者さんなのかと思ったんだけど
なーんだ、男の人だったんだ

じゃあ、美咲さんっていう人が入江さんの名古屋国立大学時代の友人で
その奥さんが妊婦さんとかで、その人の状態がよくなくて
お兄ちゃんが呼び出されたのかな?

今更だけど、その妊婦である奥さん、大丈夫かな?



クスッ!


えっ?また笑った?

入江さん、美咲さんのコト、心配じゃないの?
だって緊急事態なんじゃ


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