ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


『あーダメダメ!!! 今の私、凄くイライラしちゃって。こんなママ、ダメだよね?こういう時は早速すっきりと片付けちゃうべきだよね、そう思うでしょ、祐希!』


大した返事が戻ってこないことはわかってるクセに祐希に同意を求めた私。

同意を求められた彼はというと
いつもこの家のリビングに置いていたおもちゃを探したかったらしく、自分を床の上に下ろせとジタバタしていた。


『まって、おもちゃ・・・ダンボールの中!』


イライラ感を抱いてしまっている現実から逃避をしたい時
母親そして主婦という立場がちょうどよかったりすることもある

母親として家庭を守る主婦としてやることは数多くあって
それをすることに身を任せることで現実逃避がイヤでもできちゃったりするから

私は自分のとなりで早くおもちゃを出してと急かしている祐希を上手くかわしながら無心になってダンボールの中身をひっくり返していた。

そしてダンボールの中身をひっくり返し、元にあった場所に戻すという作業は祐希を寝かしつけた後も続き、結局夜中の3時までかかってしまった。


そんな真夜中でも産科医師という仕事に従事しているお兄ちゃんの姿はやはり、私達がいるココにはなかった。

祐希が眠ってしまった後、母親という立場から解放され、引越しの後片付けが終わったことによっても主婦としての役割を終えてしまった私。


『片付け、終わった~』


することがなくなった時には
ついつい考え事をしてしまうという私のよくないクセが出てきてしまう

なんでだろう?
今までもお兄ちゃんがいない夜なんて
日常茶飯事だったのに

こんなに寂しいと思うのは
やっぱり、彼が自分のお兄ちゃんではなくなったからなのかな?

彼が私の兄ではなく、私の愛しい人に変わってしまった今、
やっぱり彼のすぐ傍で
彼の息遣いを
彼の鼓動を
彼のもっと近くで、いつも感じていたいというのは
・・・・私のワガママなのかな?



< 93 / 542 >

この作品をシェア

pagetop