ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



『ううん、まだ。まだ・・・ま○△□☆*◎×・・・・・』


もう帰って来れたんだ
そ、想定外です

どうしよう
メイクしてないし髪ボサボサだし
まだ、パジャマ姿だし・・・

ん?待てよ
私、この姿をこの人に
毎日見られていたじゃん

なに戸惑っちゃってるんだろう?
なに緊張しちゃってるんだろう?
お兄ちゃんじゃない!
いつもココに一緒にいた
お兄ちゃんじゃない!


『今、開けるね。』



ふーっ


ガチャ!


私は自分の慌てていた心を少しでも落ち着かせようと大きく一息をついてから玄関ドアの内側のロックを開けた。

するとすぐに玄関のドアが開き、勢いよくひんやりとした空気が玄関内に流れ込んできたことによって両腕をクロスさせて身震いをしてしまった私。


「部屋の中はやっぱり暖かいな。」


そう言いながら彼は着ていたロングコートを私の肩にかけて羽織わせてくれた。
幸せ真っ只中の私ならそんな紳士的な行動をされたら、頬を赤らめずにはいられないところだけど、

『お兄ちゃん、その格好・・・』

「ああ、コレ?着替えるの面倒臭かったから、このまま帰ってきた。」

俯きながらそう言ってコートを脱いだ彼。

その姿は、昨日、ホテルから直接出勤した “ワイシャツ+ズボン” なんかじゃなくて、
緑色の手術着の上に白衣を着た “いつもの彼の病院スタイル” だったから

自宅という空間ではあり得ないその姿を目にして驚いてしまった私は頬を赤らめている場合じゃなくなってしまった。



「だから、鍵、忘れてきちゃってな・・・ズボンのポケットに入れたままだったから。」

こんなに寒い中、そう言いながら、軽く俯いたまま白衣まで脱ぎ始めた彼。


この人
病院では腕がよくてクールだけど、患者さんには優しい産科医師として名が通っているせいもあり、いろいろな人から注目されがちなんですが
本人にその自覚がないみたいなんです



「あっ、聴診器まで首にぶら下げてきちゃったな。」


そう言いながら、おもむろにそれを首から外して下駄箱の上に無造作に置いた彼。


この人
普段の診療で集中し続けているせいもあってか
医師の仕事を離れるとかわいいというかお茶目なドジをしたりすることもあるんです



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